職場・施設形態

介護老人保健施設(老健)で働くPT・OT・STの仕事内容・在宅復帰支援・給料

更新日:2026/09/08 読了目安:約8分 執筆:ケアリーチ キャリアアドバイザー

介護老人保健施設(老健)で働く理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の仕事内容、在宅復帰支援の実際、1日の流れ、給料の傾向、向いている人、求人の探し方をキャリアアドバイザーが解説。病院から介護分野への転職を考える方の参考になります。

「老健に転職したら、リハビリというより介護の仕事になるのでは」と不安に思う方は少なくありません。実際には、介護老人保健施設(老健)は「在宅復帰・在宅療養支援」を担う施設として位置づけられ、リハビリ職が施設運営の中核を担う場面が多い職場です。病院とは目標も評価の指標も異なるため、老健ならではの役割を理解しておくことが転職後のギャップを防ぎます。この記事では、老健の特徴、PT・OT・STの仕事内容と1日の流れ、給料の傾向、向いている人、求人の探し方を整理しました。

介護老人保健施設(老健)の特徴と対象利用者

老健は、病院での治療を終えた要介護高齢者が、自宅への復帰を目指してリハビリや医療的ケアを受けながら生活する施設です。医師が常勤し、看護師・介護職・支援相談員・管理栄養士・リハビリ職などが配置され、「病院と自宅の中間施設」と表現されることもあります。

入所の対象は要介護1以上の高齢者で、脳血管疾患の後遺症、大腿骨骨折の術後、認知症、廃用症候群などが主な状態像です。入所期間は原則として3か月ごとに継続の可否を判定し、在宅復帰を目指す仕組みになっています。近年は在宅復帰率やリハビリの提供体制に応じて施設の類型が分かれており、在宅復帰を重視する「超強化型」などの施設では、療法士の役割が特に大きくなります。

老健の多くは入所に加えて、通所リハビリ(デイケア)や短期入所(ショートステイ)、訪問リハビリを併設しています。療法士は入所と通所を兼務することも多く、利用者が退所した後も通所や訪問で関わり続けられるのは老健ならではの特徴です。

老健で働くPT・OT・STの仕事内容

老健では、疾患別リハビリよりも「生活に必要な動作を施設内で実践し、自宅での生活を組み立てる」ことに重きが置かれます。

職種主な業務
理学療法士起居・移乗・歩行の練習、施設内での歩行自立度の判定、転倒予防、集団体操の企画、福祉用具の選定、退所前の自宅訪問と住環境評価
作業療法士トイレ・入浴・更衣などのADL練習、認知症の方への活動提供、レクリエーションや創作活動、自宅の家事動作の練習、家族への介助方法の指導
言語聴覚士摂食嚥下評価と食形態の調整、口腔機能の維持向上、コミュニケーション支援、介護職への食事介助の指導、栄養ケアとの連携

介護保険では、入所者へのリハビリは「短期集中リハビリテーション実施加算」などの枠組みで提供され、病院のような単位制ではなく、1人あたり週に数回、20分程度の個別リハビリを行う形が一般的です。個別リハビリの時間が短いぶん、介護職への動作介助の指導や施設内の環境調整を通じて、生活全体でリハビリの効果を出す発想が求められます。

また、支援相談員やケアマネジャーと連携して退所後のサービスを調整すること、家族に介助方法を指導すること、退所前に自宅を訪問して手すりや段差を確認することなど、在宅復帰支援の一連の流れに関わるのが老健の療法士の大きな役割です。

1日の流れの例

  • 8:30 出勤、申し送りで利用者の状態変化を確認
  • 9:00〜12:00 入所者の個別リハビリ、集団体操の実施、通所リハビリの利用者の対応
  • 12:00 食事場面の観察(STは嚥下評価、OTは食事動作の確認)
  • 13:00〜16:30 午後の個別リハビリ、判定会議、家族指導、退所前訪問、通所リハビリの送迎対応
  • 16:30〜17:30 記録、リハビリ計画書の作成、ケアマネジャーとの連絡

老健は日勤のみで、土日のどちらかが休みという勤務が一般的です。通所リハビリを併設する施設では土曜出勤がある場合もあります。夜勤やオンコールはなく、残業も病院に比べて少ない傾向にあります。

アドバイザーのひとこと 老健で評価される療法士は「介護職に伝える力」を持っている人です。移乗介助の方法を写真付きの手順書にして共有したり、離床の目標を介護職と一緒に決めたりできると、施設全体の在宅復帰の成果が変わります。病院で身につけた専門用語をそのまま使わず、現場の言葉で説明できるかどうかが、老健で活躍できるかの分かれ道です。

老健の給料の傾向

老健は社会福祉法人や医療法人が運営することが多く、給与水準は病院と同程度か、地域によってはやや控えめな傾向です。ただし、介護職員等の処遇改善加算の対象になる法人では、療法士にも手当が配分されることがあり、求人票の「処遇改善手当」の有無は確認したいポイントです。

厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(2024年)によると理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士の平均年収は約430万円です。ケアリーチに掲載されている介護老人保健施設の求人511件を集計すると、平均月給は約23.5万円万円となっています。老健はリハビリ科の人数が数名から10名程度と少ないため、主任やリハビリ部門の責任者になる機会が病院より早く訪れやすい点も、年収を考えるうえで見逃せません。

老健に向いている人・メリット・デメリット

向いている人

  • 利用者の「暮らし」を見据えた支援に興味がある人
  • 介護職や相談員など他職種と協力して仕組みを作ることが好きな人
  • 日勤のみ・夜勤なしで、家庭と両立しながら長く働きたい人
  • 病院での経験を活かして、地域や在宅に関わる仕事にシフトしたい人

メリット

  • 日勤のみで残業が少なく、生活リズムが安定する
  • 入所・通所・訪問を通じて、利用者の生活の変化を長期的に追える
  • 少人数の職場で裁量が大きく、責任者へのキャリアが開けやすい

デメリット

  • 個別リハビリの時間が短く、病院のような集中的な介入ができない
  • 送迎やレクリエーションなど、リハビリ以外の業務が求められることがある
  • 療法士の人数が少なく、専門的な相談相手や研修機会が限られる

老健の求人の探し方

老健の求人は年間を通じて安定して出ている一方、施設の類型や運営方針によって仕事内容が大きく異なります。求人票と面接で次の点を確認してください。

  1. 施設の類型(在宅復帰を重視する超強化型・強化型か、従来型か)
  2. 入所・通所・訪問の兼務の有無と、それぞれの業務割合
  3. 療法士の人数と職種構成、STが常勤でいるか
  4. 送迎や介護業務への関与の程度
  5. 処遇改善手当や賞与の実績、住宅手当などの固定手当

見学では、リハ室で個別リハビリをしている様子だけでなく、フロアで介護職と療法士がどのように連携しているかを見ると、施設の姿勢が伝わってきます。

よくある質問

Q. 老健では介護業務も担当しなければいけませんか?

施設によります。人員配置に余裕のある施設ではリハビリ業務に専念できますが、小規模な施設では通所リハビリの送迎や食事の見守りなど、介護職と協力して行う業務が発生することがあります。面接で「療法士の1日の業務内容」を具体的に聞いておくと、入職後のギャップを防げます。

Q. 老健で働くPT・OT・STは在宅復帰にどう関わるのですか?

入所時の評価から在宅復帰の目標設定、施設内でのADL練習、家族への介助指導、退所前の自宅訪問、退所後の通所・訪問リハビリへの引き継ぎまで、一連の流れに関わります。ケアマネジャーや支援相談員と協力してサービスを組み立てることも多く、在宅生活を想像しながら支援を設計する力が身につきます。

Q. 老健から病院へ戻る転職は可能ですか?

可能です。老健での在宅復帰支援や家族指導の経験は、回復期病院の退院支援や地域連携で高く評価されます。ただし、病院の単位制やリスク管理に再び慣れる必要があるため、転職前に評価手順や急変時対応の知識を復習しておくと安心です。

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タグ:老健 生活期 理学療法士 作業療法士 言語聴覚士 給料 日勤のみ

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