急性期病院で働くPT・OT・STの仕事内容・1日の流れ・給料・向いている人
急性期病院で働く理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の仕事内容、1日の流れ、単位数の傾向、給料、向いている人の特徴、求人の探し方をキャリアアドバイザーが解説。新卒・転職で急性期を検討する方の判断材料になります。
「急性期は忙しそうだけれど、若いうちに経験しておいたほうがいいのだろうか」「回復期から急性期に移ると何が変わるのか」といった相談は、PT・OT・STの転職相談の中でも特に多いテーマです。急性期病院は発症・受傷・手術の直後から関わる現場で、リスク管理と多職種連携の密度が他の施設形態と大きく異なります。この記事では、急性期病院で働くリハビリ職の仕事内容と1日の流れ、給料の傾向、向いている人の特徴、求人の探し方をまとめました。急性期を「最初の職場」にするか「次の職場」にするかを考えるときの材料にしてください。
急性期病院の特徴と対象患者
急性期病院は、脳卒中や心筋梗塞などの発症直後、骨折や人工関節などの術後、肺炎や心不全の急性増悪、がんの周術期など、病状が不安定な時期の患者を受け入れる病院です。在院日数は短く、一般的に2〜3週間程度で回復期リハビリテーション病院や自宅、介護施設へと移っていきます。
リハビリ職の役割は「早期離床」と「廃用予防」が中心です。手術翌日からベッドサイドで介入することも珍しくなく、バイタルサインや点滴・ドレーンの状態を確認しながら、安全に離床を進めます。近年は集中治療室での早期リハビリや心臓リハビリ、がんリハビリ、摂食嚥下の評価など、急性期ならではの専門領域も広がっています。
対象患者は幅広く、整形外科、脳神経外科、循環器内科、呼吸器内科、消化器外科など複数の診療科を横断して担当するのが一般的です。1人の療法士が同じ日に脊椎術後の患者と脳梗塞の患者を診ることも普通で、疾患ごとの知識と全身管理の視点が求められます。
急性期病院で働くPT・OT・STの仕事内容
急性期における職種別の主な業務は次のとおりです。
| 職種 | 主な業務 |
|---|---|
| 理学療法士 | 早期離床、術後の関節可動域・筋力練習、歩行練習、呼吸理学療法、心臓リハビリ、退院先の判断に関わる身体機能評価 |
| 作業療法士 | ADL評価と練習(食事・整容・トイレ動作)、高次脳機能評価、上肢機能練習、せん妄予防のための環境調整、自助具の提案 |
| 言語聴覚士 | 摂食嚥下評価(スクリーニング、嚥下造影・内視鏡検査への同席)、食形態の提案、失語・構音障害の評価と初期訓練、家族への説明 |
共通して大きな比重を占めるのが「評価と情報共有」です。急性期は入院期間が短いため、初回評価から退院先の見立てまでを数日で組み立て、医師・看護師・ソーシャルワーカーとカンファレンスで共有します。回復期病院への紹介状に添えるリハビリサマリーの作成も日常業務の一つです。
1日の流れの例
日勤帯の一般的な流れを、入職2〜3年目の理学療法士を想定して示します。
- 8:30 出勤、電子カルテで担当患者の夜間の状態・検査値・処方変更を確認
- 8:45 病棟ラウンド、看護師と離床可否や当日の予定を擦り合わせ
- 9:00〜12:00 ベッドサイドまたはリハ室での介入(術後リハ、離床、歩行練習)
- 12:00〜13:00 昼休憩
- 13:00〜16:30 午後の介入、新規患者の初回評価、カンファレンス
- 16:30〜17:30 記録、リハビリ計画書・サマリー作成、翌日の予定調整
取得単位数は、傾向として1日16〜20単位前後を目安に設定している病院が多いようです。ただし急性期は初回評価やカンファレンス、検査への同席など単位に含まれにくい業務が多く、単位数だけで忙しさを測れない点は覚えておいてください。土日のどちらかがリハビリ提供日になっている病院も多く、シフト制で週休2日という勤務形態が一般的です。
アドバイザーのひとこと 急性期の見学では、リハ室の広さよりも「離床の判断を誰がどう決めているか」を聞いてみてください。医師の指示書だけで動く病院と、療法士がバイタルや検査値を見て自分で判断し看護師と交渉できる病院とでは、身につく力がまったく違います。後者の病院ほど新人教育もしっかりしている印象です。
急性期病院の給料の傾向
急性期病院は病床数の多い大規模病院や公的病院が多く、基本給の水準や賞与、退職金制度が整っている職場が比較的多い傾向にあります。一方で、訪問リハビリのようなインセンティブは基本的になく、年功的な昇給が中心です。
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(2024年)によると理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士の平均年収は約430万円です。ケアリーチに掲載されている急性期病院の求人82件を集計すると、平均月給は約23.8万円万円となっています。土日出勤の手当や、認定・専門資格に対する手当を設けている病院もあるため、求人票では基本給と手当の内訳を必ず確認してください。
新卒や経験3年未満の方にとっては、給料そのものより「教育体制の充実度」と「多様な疾患を診られる経験」が急性期を選ぶ大きな理由になります。将来的に訪問や回復期へ移る際にも、急性期でのリスク管理経験は評価されやすい要素です。
急性期病院に向いている人・メリット・デメリット
向いている人
- 疾患や全身状態の知識を幅広く学びたい人
- 医師や看護師と密に連携しながら進める仕事が好きな人
- 判断のスピードが求められる環境にやりがいを感じる人
- 将来、専門領域(心臓リハ、呼吸、がん、嚥下など)を深めたい人
メリット
- 多様な疾患・術式を短期間で経験でき、臨床の土台が作られる
- 大規模病院が多く、福利厚生や研修制度が整っていることが多い
- 学会発表や認定資格取得を支援する風土がある職場が比較的多い
デメリット
- 1人の患者と関われる期間が短く、機能回復の過程を見届けにくい
- リスク管理の緊張感が続き、精神的な負荷を感じる人もいる
- 土日出勤や当番制の勤務がある病院が多い
「患者さんの変化をじっくり追いたい」という方は回復期や生活期のほうが満足度が高いことも多く、急性期が合う・合わないは経験年数よりも志向による部分が大きいと感じています。
急性期病院の求人の探し方
急性期病院の求人は、新卒採用は定期的に行われる一方、中途採用は欠員が出たタイミングでの募集が中心です。そのため、希望する地域や病院がある場合は、募集が出た時点で動けるよう準備しておくことが大切です。
求人票で確認したいポイントは次のとおりです。
- 対象疾患の内訳(整形中心か、脳血管・循環器・呼吸器まで幅広いか)
- 1日の目標単位数と、評価・カンファレンス時間の扱い
- 土日勤務の頻度と休日の取り方(週休2日制か、4週8休か)
- 新人・中途向けの教育プログラムの有無(プリセプター制度、症例検討会)
- 認定資格取得や学会参加への支援制度
面接では、前職での担当疾患やリスク管理の経験を具体的に話せるようにしておくと、急性期経験がない方でも評価されやすくなります。
よくある質問
Q. 急性期病院はPT・OT・ST未経験や新卒でも採用されますか?
新卒採用を毎年行っている急性期病院は多く、教育体制も比較的整っています。中途で急性期未経験の場合も、回復期や整形外科クリニックでの経験があれば十分に応募可能です。バイタルサインの解釈や検査値の読み方を入職前に復習しておくと、立ち上がりがスムーズになります。
Q. 急性期病院のPT・OT・STは残業が多いですか?
病院によって差はありますが、記録やサマリー作成が勤務時間内に収まらず、月10〜20時間程度の残業が発生している職場もあります。見学時に「記録は何時ごろ終わることが多いか」を聞くと実態がつかみやすいでしょう。電子カルテのテンプレート整備が進んでいる病院ほど残業は少ない傾向です。
Q. 急性期から回復期や訪問に転職すると不利になりますか?
不利になることはほとんどありません。むしろ急性期でのリスク管理経験は、回復期や訪問の現場で「安全に攻めた介入ができる」と評価されやすい要素です。ただし生活期に多い介護保険制度の知識は別途学ぶ必要があるため、転職前に基本を押さえておくと安心です。
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